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4日目

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4日目 (熱気球と網走と)

 6:30 起床
 7:30 気球の立ち上げ開始
 8:36 気球離陸
10:03 気球着陸
11:09 清里町駅発 (釧網本線・普通)
11:21 知床斜里駅着
11:57 知床斜里駅発 (釧網本線・流氷ノロッコ4号)
12:53 釧路駅着
13:25 釧路駅着 (バス・天都山線)
13:50 北方民族博物館到着
15:00 北方民族博物館出発
16:15 網走刑務所出発
18:50 網走駅発 (釧網本線・普通)
19:52 清里駅着
鉄道移動距離 (清里 - 清里)   98.4km 
累積鉄道移動距離           1539.8km

熱気球でふわり

6:30に起床、7:30に出発予定なので早めに起きて準備をする。7:00に朝食、昨日摩周湖で買ったコンビニ牛丼を放出する。ペアレントさんの話によると、上空の雲の流れが速く、気球が飛ぶかどうかは離陸地点へ行ってみないと分からないとのこと。

部屋からの景色

ほとんど風が吹いていないように見えるが…。

スキーウエアを借りて着替えてから、7:30に気球の立ち上げを始める。ペアレントさんとスタッフ(以後Iさん)、同宿のYさん、それに自分の4人が参加する。はじめに気球のバスケットをガレージから搬出して車に積み込む。空を飛ぶ物なのでもう少し軽いかなと思っていたが、思ったよりも重く、4人がかりでも大変。それもそのはず、機体だけで195kg、それに加えて燃料が102kgもある。気球一式を積み終えた後、離陸地点へと出発する。

小清水ランチサイト

離陸地点。清里町の隣町である小清水町にある。

15分くらいで、「小清水ランチサイト」に到着する。ランチサイトといっても何か設備があるわけではなく、ただの雪原である。熱気球の愛好家が提供してくれる場所らしい。先ほどに比べると風はおさまり、気球は飛べそうだ。

気球の球皮

空気を入れる前

気球の立ち上げが始まった。最初は黙って見ているだけだが、球皮に空気を入れるため、Yさんと二人で気球の口を持つ。大きな扇風機で風を送ると気球は徐々にふくらんでいく。風を送るだけでここまで大きくなるものかと感心する。ある程度形を作ったらいよいよバーナーの登場、これにより気球は上へ向かおうとする。

気球

立った!

大きいな、と思いながら写真を撮り、バスケットに乗って場所を確保。いよいよ離陸の態勢に入る。ペアレントさんが操縦し、スタッフのIさんは地上で気球を追いかけて着陸を支援する「チェイサー」という役目を果たす。ペアレントさんがガスバーナーを操作して炎を勢いよくあげ、8:36離陸。

遊園地で上下に動く乗り物(たとえばバイキング、回転飛行機など)は、上昇すると下に押しつけられていかにも「上昇している」感じがする。気球の上昇はこれとは違い、上昇しているのに上昇している感じがしない。それだけ穏やかに、ゆっくりと上昇する。段々小さくなっていく家々を眺めることで始めて上昇を実感する。もっと恐怖感を感じるかと思っていたが、意外と大丈夫。

離陸3分後

上昇中…。

チェイサー

車で気球を追いかけ、地上の風向などを教えてくれる。

心配していた風はそれほど強くなく、気球は順調に高度を上げていく。あっという間に本日の最高高度3700フィート(約1100m)に達する。

風景

最高高度付近

上から見ると、道路が碁盤の目のように規則正しく伸びているのがよく分かる。道路が伸びる方向に応じて「1線」(南北)、「3号」(東西)などと名前がついている。

風景

清里町の方向

気球に乗っているとあまり感じないのだが、北西風が少し強いためもう清里町に近づく。このままいくと山に達してしまうので、降下を始めて着地ポイントを探し始める。

気球の影

風景

JR(左)と道路(右)

上空の風は強いが、地面近くでは風が弱い。そのためか風の向きがころころ変わり、なかなかうまい場所に着陸できない。道路に近くて電線がない雪原であればどこでもいいのだが、着陸直前に電線へ接近して再び上昇すること数回。気球は離陸よりも着陸が難しい。

着陸候補地

道路の左側の雪原が着陸候補地。風は最初、右下から左上へ向かって吹いていたが、地面近くで左下から右上へ向かって吹く。このため気球は電線がある右側へと吹き寄せられ、着陸を断念する。写真の車と人はチェイサー。

「気球は十分満喫したか?」とペアレントさんに聞かれる。ここまで来ることは滅多にないとペアレントさんに言わせるほど、なかなか下りることができない。着陸地を求めてしばらく低空飛行を続ける。ただ、低空飛行もなかなかいい。あまり高度が高すぎると地上にある建物や人は豆粒のようにしか見えないが、低空だと動物の足跡まで見ることができる。むしろつらいのは、「寒さ」、それも気球という未知の体験の前では我慢できないほどではない。

時折、バーナーから炎を出していないのに気球は急に高度を上げ始める。ペアレントさん曰く「サーマル」とのこと。「サーマル」とは、風のない晴れた日に発生する上昇気流である。気象の研究室に所属している関係で耳にしたことはある言葉だが、サーマルを体で体験するのは初めてだ。サーマルを抜けると今度は急に下降を始める。

着陸地

道路左側に無事着陸。

このままでは山に行ってしまうと思い始めた頃、やっと着陸。まだ少し浮いている気球から飛び降り、そのままロープで道路まで運ぶ。道路にはチェイサーのIさんが待っている。

今回の飛行記録は以下の通り。

離陸地点  :小清水ランチサイト
着陸地点  :清里町21号19号
天候    :晴れ
直線飛行距離:12km
使用燃料  :30kg
離陸時刻  :8:36
着陸時刻  :10:03
飛行時間  :87分
最高高度  :3700ft

トロッコ列車

気球を回収した後、車でYHへ戻る。YHでゆっくり休もうかとも思ったが、11時の網走方面行きの列車に乗れば、「流氷ノロッコ号」という観光列車に乗れそうだ。予定を変更して急きょペアレントさんの車で清里駅へと向かう。清里駅で釧路へ向かうYさんと別れ、11:09発の網走行きに乗る。10分少々で知床半島の付け根、知床斜里駅に到着する。

流氷ノロッコ号

名前の通りのろのろ走ります。「トロッコ」ではありません…寒いので。

シュークリーム

車内販売、1個200円也。

ノロッコ号の発車前にホームで撮影をしていると、同年代の人に声をかけられる。その人、なんと私と同業者。私は気象の研究室に所属しているが、彼は気象庁の測候所に勤めている。偶然とは恐ろしいものだが、気象が好きなら一度は流氷を見てみたいと思うのは共通なのかもしれない。意気投合して車窓を眺めながら身の上話をする。

車窓

流氷が見えます。

北浜駅

駅に展望台があります。流氷は消えてしまいましたが。

流氷は知床斜里近くでは見えたが、少し走ると消えてしまった。流氷というとどこまでも広がっているイメージがあったので、思ったよりも局地的なものだなと感じる。北浜という駅で長めの停車があり、駅の展望台に登ることができる。この駅、喫茶店が併設されていることでも有名。

網走観光

さて、列車は12:53に網走に到着する。駅で肉まんを1個食べながらこれからどうしようかと思案してから、バスで天都山方面へと向かう。

北方民族博物館

冬のためか、人がいない…

最初に立ち寄った[北方民族博物館|http://hoppohm.org/]は、北方圏に住む様々な民族の歴史や文化を映像や模型で紹介する博物館。映像が充実していて、アイヌの狩猟の様子などを見ることができる。何より、雰囲気が展示とマッチしている。

次に、少し歩いてオホーツク流氷館に向かう。

歩道を歩くと「パリパリ」という音がする

流氷は後で直接見ようと思って流氷館には入館せず、付属の展望台から景色を眺める。近くで子供がタイヤに乗ってそり遊びをしている。次に、博物館網走監獄へ向かう。

同じ地域にある博物館網走監獄の最終入場時刻は16:00、時計を見るとあと30分ある。歩いても間に合うだろう思い、徒歩で網走監獄へ行く。しかしこの判断が大きな誤りだった。地図で見ると近そうに見える網走監獄だが、歩くととんでもない距離があった。行けども行けどもまっすぐな道は続き、走っても走ってもまっすぐな道は終わらない。

オホーツク流氷館→博物館網走監獄

道路は続くよどこまでも…。

博物館網走監獄の門

既に16:02。

結局網走監獄に着いたのは16:02…かなり走ったのに。口惜しいが、閉まってしまったものはどうしようもない。バスで網走駅に戻ることにするが、バスまで20分もある。たかが20分だが、今まで走った上にこの寒さの中で20分じっとしているのはなかなかつらい。

余談だが、バスを待っている間に私の大学の研究室から電話があった。「ところで今どこにいるの?」「網走刑務所」「…」。決して悪いことをして刑務所に入れられたわけではありませんよ。勘違いしないで下さい…。

網走駅

刑務所の街らしいたたずまい。

やっとのことで網走駅に戻り、駅近くのラーメン屋で「オホーツクラーメン」を食べる。

オホーツクラーメン

18:50網走発の列車で清里に戻る。YHに着いたのは20:00頃。その後ペアレントさんに風呂に連れて行ってもらう。今日の宿泊客はなんと私一人!。考えてみると、旅を始めてから3人→2人→1人と同宿者がどんどん減っていく。やはりこの時期に北海道を旅行している人はほとんどいないのだろうか。